座卓の前に通されて、お茶が出て、そこから10分。 まだ切り出せていません。 この記事では、挨拶の切り出し方と、当日の流れをまとめます。
- 最初のひと言は短くていい。長い前置きほど言い出せなくなる
- 切り出すのは着席して10分ほど。雑談が一段落したところで
- 答えにくい質問には「これから相談します」で構わない
- 「結婚させてください」は、どちらが言うのか分からない
- 切り出すタイミングが掴めず、雑談が長引いてしまいそう
- 仕事や住まいのことを聞かれたら、と考えると不安になる
- 緊張して言葉が出なくなりそうで怖い
- 何を話せばいいか、頭が真っ白になる気がする
最初のひと言が、いちばん難しい
みさきは、座卓の前で湯呑みを見ていました。
お茶が出て、天気の話をして、道が混んでいなかったかと聞かれて、 それに答えて、また少し黙って。10分経っていました。
言うことは決めてきたのです。家で何度も口に出しました。 なのに、切り出す隙間がありません。 雑談が途切れるたびに、次の話題が出てくる。 誰かが助けてくれるわけでもありません。
切り出し方は、短いほうがいい
長い前置きを用意すると、かえって言えなくなります。 前置きが長いほど、始めるのに勇気が要るからです。
実際に使われているのは、こういう形です。
姿勢を正して合図する
「本日は、お時間をいただきありがとうございます」から入る。姿勢が変わると、場の空気も変わります。
用件を先に言う
「今日は、ご挨拶に伺いました」と目的を先に出す。相手が受け止める準備ができます。
名前を呼んでから
「お父さん、お母さん」と呼びかけてから本題へ。呼びかけが区切りの役目を果たします。
どれも共通しているのは、本題の前に「これから大事な話をします」という合図があることです。 この合図があると、相手も雑談を止めてくれます。
話す順番の目安
順番に決まりはありませんが、多くの場合こう進みます。
時間をいただいたお礼
ひと言で構いません。ここが合図になります。
結婚の意思を伝える
ここが本題です。「結婚を前提にお付き合いしています」から 「結婚させていただきたいと思っています」へ。 飾らずに、はっきり言うほうが伝わります。
相手のことを、自分の言葉で
どこを好きになったのか。ひと言でいいので入れてください。 親が聞きたいのは、条件よりここです。
これからのこと
仕事、住まい、時期。決まっていることだけ話します。 決まっていないことは、決まっていないと言います。
お願いの言葉
「お許しいただけますでしょうか」「よろしくお願いいたします」。 ここで一度、言葉を止めます。返事を待つ間ができます。
「結婚させてください」は、どちらが言うのか
男性が言うものと思われがちですが、決まりはありません。
近年は「ふたりで結婚したいと思っています」と揃って言う形も増えています。 片方が言い、もう片方が続ける形もあります。
大事なのは、どちらが言うかを当日までに決めておくことです。 決めていないと、その場でお互いを見合うことになります。 みさきたちが、まさにそうでした。
聞かれやすいこと
| 聞かれること | 答え方の目安 |
|---|---|
| 仕事のこと | 職種と勤務形態を簡潔に。続けるかどうかを聞かれることもあります |
| 住まいのこと | 決まっていれば場所を。未定なら「これから探します」で構いません |
| 式の予定 | する・しない・未定のいずれかを。しない場合は理由を添えると伝わりやすくなります |
| 両親のこと | 家族構成を簡単に。詳しくは顔合わせで話すことになります |
| 子どものこと | 答えにくければ「まだ話し合っていません」で構いません |
答えにくい質問が来たとき
取り繕った答えは、あとで自分を縛ります。
「式は挙げます」と言ってしまうと、後で挙げないと決めたときに 説明が必要になります。その場をしのぐために答えを作らないことです。
使えるのは、この3つです。
「まだ決めていません」
「持ち帰って考えさせてください」
どれも逃げているように聞こえるかもしれませんが、 正直に言えることのほうが、信頼されます。
前日までに、しておくと楽なこと
当日うまく話せるかどうかは、前日までの準備でほぼ決まります。 暗記ではなく、決めておくことのほうが効きます。
合図の一文だけ、声に出して練習する
全文を覚える必要はありません。 最初の一文だけを、実際に声に出して言ってみます。 頭の中で唱えるのと、口から出すのは別物です。 ここさえ出れば、あとは流れます。
どちらが言うかを、口に出して確認する
「じゃあ最初はそっちね」と、はっきり言葉にしておきます。 なんとなくの合意は、当日に崩れます。 言えなかったときに代わる合図も決めておくと、なお安心です。
相手の家のことを聞いておく
お父さんの仕事、お母さんの好きなもの、家族の話題。 雑談の材料が1つあるだけで、沈黙が怖くなくなります。 パートナーに聞いておいてください。
言えなかったときの逃げ道を用意する
「今日は言えなかった」で終わっても構いません。 次に会うときに手紙を渡す、という手もあります。 逃げ道があると、かえって言えるものです。
みさきが言えなかったこと
結局、切り出したのは彼のほうでした。
「今日は、ご挨拶に伺いました」
その一言で、場の空気が変わりました。 お父さんが座り直して、お母さんが湯呑みを置いた。 そこからは、思っていたより早く進みました。
みさきが用意していた言葉は、使えませんでした。 言うつもりだったのは、彼のどこを好きになったかでした。 流れの中で、言うところがないまま終わってしまったのです。
帰ってから、母に聞かれました。
「言えた?」
「言えなかった」
母は何も言いませんでした。 台所に立って、お茶を淹れて、みさきの前に置いた。 それだけでした。
言えなかったことは、次の機会に言えばいい。 挨拶は、一度で全部を伝える場ではありません。 これから何度も会うのだから、と思うことにしました。
合図さえ出せれば、あとは進む。
よくある質問
顔合わせが終わると、次は報告です
職場に、友人に、遠くの親戚に。はがきを出すほどではないけれど、 きちんと伝えたい。そんなときの選択肢を、ひとつ用意しています。
顔合わせの写真と、その日のことばを両家に
そろって撮った1枚と、交わした言葉を、1つのページにまとめておけます。 写真を送っていただくだけで、こちらでお作りします。公開の期限はありません。
※この記事は物語シリーズ「みさきの結婚準備」の1話です。
登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。
提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※記載の内容は一般的な情報をもとにまとめたものです。
挨拶の作法は、地域・家庭・宗派によって異なります。
ご家族と相談のうえ、ご判断ください。
