ネイルサロンの次回予約|言いにくいを解決する声かけの順番

第2話 次の日を、決めておきました|ひとりネイルサロン みさきの物語
リピート編 第2話

「次のご予約はいかがですか」——この一言が、どうしても出てこない。 売り込みだと思われそうで、結局そのままお見送りしてしまう。 この記事では、次回予約をすすめられない理由と、言わずに済ませる方法をまとめます。

この記事の要点
  1. 言えないのは性格の問題ではなく、言う場所の問題
  2. 施術中に次の目安を伝えておけば、会計時は確認するだけになる
  3. 会計時は「聞く」のではなく、日付を出す
こんなこと、ありませんか
  • 会計のときに言おうと思って、毎回言えないまま終わる
  • すすめたら「押し売り」と思われそうで怖い
  • 勤めていた頃は言えたのに、自分の店だと言えない
  • 一度断られてから、余計に言いづらくなった
  • 「また連絡します」と言われて、そのまま連絡が来ない

会計のときが、いちばん言いにくい場所です

まず知っておいていただきたいのは、あなたの伝え方が下手なわけではないということです。 問題は、言おうとしている「場所」にあります。

会計の場面を、お客様の側から見てみてください。 財布を出して、金額を確認して、支払う。ここは「お金を払うかどうか」の場面です。 そこに次回の話を足すと、どうしても「もう一回払いませんか」と聞こえてしまう。

だから言いにくいのです。あなたが感じている抵抗は、正しい感覚です。

言えば売り込み、言わなきゃ忘れられる、と悩むみさき
言えば売り込み、言わなきゃ忘れられる。

勤めていた頃は言えたのに、という方へ

サロン勤めの経験がある方ほど、ここでつまずきます。 以前は自然に言えていたのに、自分の店になった途端に言えない。

理由はシンプルです。お店では、全員が言っていたからです。 次回予約をすすめるのが店の当たり前で、お客様もそれを知っている。 だから、誰も売り込んでいる気になりませんでした。

ひとりのサロンでは、それが自分ひとりの判断になります。 言えば「自分だけが売り込む人」になった気がする。技術の問題ではなく、 立場が変わったことによる摩擦です。

言う場所を、施術中に前倒しする

解決はとても地味です。会計より前に、言ってしまう。それだけです。

施術中はまだ、お金の話をしていません。ここで次回の時期を伝えても、 お客様は「はい」も「いいえ」も答える必要がありません。 ただ情報を受け取るだけで済みます。

✕ (会計時に)次のご予約はいかがですか?
○ (施術中に)爪の伸び方だと、次は3〜4週間後がいちばんきれいに保てそうです。

下の言い方は、予約のお願いではありません。専門家としての見立てです。 お客様は断る必要がないので、負担がありません。

そして、この一言を聞いた時点で、お客様の頭の中に「次は3〜4週間後」という 目安が入ります。会計のときには、その続きを話すだけになります。

言う場所が違う、と3つの選択肢を示す涼子先輩
「言えないんじゃない。言う場所が違うの」 ①会計のときに勇気を出して聞く ②塗っている間に次の時期を伝える ③帰ったあとに連絡する。 勇気で解決しようとしないこと。

伝えるときの3つのコツ

1

手を止めずに言う

手を止めて向き直ると、改まった話になります。施術を続けながら、 会話の流れで自然に出すほうが、受け取る側も構えません。 向き合う姿勢ではなく、並ぶ姿勢で伝えるのがポイントです。

2

理由をひとつ添える

「3〜4週間後です」だけだと、決まり文句に聞こえます。 「根元が伸びてくるのがこのくらいの時期なので」「今回は長さを出しているので少し早めに」など、 そのお客様の爪を見て言っていることが伝わる一言を足します。

3

予約の話にしない

この時点では「ご予約されますか」と聞かないでください。 聞いた瞬間に、断る作業が発生します。あくまで見立てを伝えるだけにとどめ、 予約の話は会計時に回します。

会計時は「聞く」のではなく「日付を出す」

施術中に目安を伝えてあれば、会計時にすることは確認だけです。 ここでも、言い方をひとつ変えます。

聞く(断る作業が生まれる)

  • 次のご予約はいかがですか?
  • また来てくださいね
  • 次はいつ頃になりそうですか?

日付を出す(選ぶだけで済む)

  • 4週間後だと、◯日の午後が空いています
  • 同じ曜日だと◯日か◯日です。いかがですか
  • いまお決めでなくても大丈夫です。空き状況だけお伝えしますね

この違いは小さく見えて、お客様の頭の中で起きることがまるで違います。 「聞く」は判断そのものを預ける言い方で、「日付を出す」は選択肢を渡す言い方です。 同じ次回予約の話でも、相手にかかる負担がまったく変わります。

言い方お客様が考えること断りやすさ
次のご予約は
いかがですか
「予約するか、しないか」
——ゼロから決める
断ると、すすめを拒否したことになる
◯日の午後が
空いています
「その日でいいか、別の日か」
——日程だけを決める
「その日は都合が」と日程の話として断れる

日付を出すと、断るときも日程の都合として断れます。 お客様が気まずくならない。これが、いちばん大きな違いです。

施術しながら次回の時期を伝えるみさき
会計のときじゃなくて、塗ってる間に言う。

断られたときは、追わない

日付を出しても「今日は決められない」と言われることは、当然あります。 ここで粘ると、次から来づらくなります。

✕ そうですか……。じゃあ、来月のご予定が分かったらすぐご連絡いただけますか?
○ 承知しました。ご都合がついたら、いつでもご連絡くださいね。だいたい3〜4週間後が目安です。

ここで大事なのは、最後にもう一度だけ目安を置くことです。 予約は取れなくても、「3〜4週間後」という情報だけは持って帰っていただけます。

これが第1話でお伝えした「先に置いておく」ということです。 引き止めるのではなく、置いておく。持って帰るかどうかは、お客様が決めます。

それでも言いたくない方へ

ここまで読んで、それでも口頭では難しいと感じる方もいらっしゃると思います。 その場合は、言わずに済ませる方法があります。

来店から3〜4週間後に、全員へ同じ内容をお送りするやり方です。 LINE公式アカウントの一斉配信でも、手書きのカードを渡しておくのでも構いません。

個別に送らないこと。これが唯一のルールです。
「◯◯様、最近お見えになりませんね」は催促になります。 全員に同じものが届いていると分かる形なら、受け取る側の負担がありません。

口頭が苦手な方にとっては、こちらのほうが続けやすいはずです。 続けられる方法がいちばん強いので、無理に話し方を変える必要はありません。

送る内容も、凝る必要はありません。 「前回から4週間が経ちました」という事実と、空いている日をいくつか添えるだけで十分です。 お知らせとして届いていれば、受け取った方が自分のタイミングで判断できます。 返信がなくても追いかけないでください。それが、負担のない距離感になります。

カードを渡して見送るみさきとあんず
売り込む場面を、なくしただけ。

次回予約を、取らないほうがいい場合

ここまで「どう伝えるか」を書いてきましたが、 あえて取らないという判断も、同じくらい大事です。

すべてのお客様に一律で日付を出すと、かえって距離ができることがあります。 次の3つの場合は、目安だけお伝えして、予約は取らずにお見送りしてください。

1

初めてのお客様

まだ「このお店に通うかどうか」を決めていない段階です。 ここで次を押さえようとすると、囲い込まれた感じになります。 初回は目安を伝えるだけにとどめ、判断はお客様に預けてください。 2回目にお越しくださったときが、次回予約をお願いする本番です。

2

デザインを迷っていた方

その日のデザインを迷った末に決めた方は、仕上がりを持ち帰って じっくり確かめたいと思っていることがあります。 「しばらく着けてみて、気に入ったらまたお願いします」と言えるほうが、 結果的に戻ってきてくださいます。

3

生活が変わる時期と分かっている方

引っ越し、転職、ご出産など、予定が読めない時期だと伺っているなら、 日付を出さないほうが親切です。 「落ち着かれたら、いつでもご連絡ください」とだけお伝えしておきます。

取らないと決めることも、設計のうちです。
全員から予約を取ろうとすると、断られる回数が増えます。 断られる回数が増えるほど、次に声をかけるのが怖くなります。

次回予約は、取れる方から確実に取るほうが長く続きます。 無理に全員へ広げないでください。

やってはいけない3つ

NG 1

期限つき割引で急がせる

「今日決めていただければ割引」は、値段で判断するお客様を集めます。次も割引を待たれます。

NG 2

個別に催促する

「そろそろですね」を個別に送ると、見られている感じが出ます。全員に同じ内容で。

NG 3

断られてから重ねて聞く

その日は引きます。一度で終える人のほうが、次に声をかけやすくなります。

よくある質問

施術中に話しかけられるのが苦手なお客様もいます。
その通りです。会話を好まない方には、施術の最後、 仕上がりを確認していただくタイミングで一言だけ添える形にしてください。 お客様によって使い分けるのが前提で、全員に同じ話し方をする必要はありません。
次回の目安は、何週間後と言えばよいですか。
爪の伸び方には個人差があり、デザインや長さによっても変わります。 一律の日数をお伝えするより、そのお客様の爪を見て判断した数字のほうが説得力があります。 迷う場合は幅を持たせて「3〜4週間後くらい」とお伝えして構いません。
日付を出すと、その日を押しつけている気がします。
「いまお決めでなくても大丈夫です」を先に添えると、印象がかなり変わります。 空き状況の共有として伝われば、押しつけにはなりません。
予約が埋まっていて、次の日程を出せません。
その場合は「いまのところ◯週先まで埋まっています」とお伝えするだけで十分です。 埋まっている事実自体が、次を早めに押さえる理由になります。 ただし、それを狙って空きを隠すようなことはしないでください。
次回予約を取ると、当日キャンセルが増えませんか。
先の予定は変わりやすいので、その可能性はあります。 前日か2日前に一度リマインドをお送りする運用をあわせて用意しておくと、 キャンセルではなく日程変更として扱いやすくなります。
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次回予約の、声かけ文例集

施術中に使う一言、会計時の出し方、断られたときの返し方、 口頭を使わない場合の文例まで。そのまま使えるA4・1枚です。

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第3話 値段を、上げることにしました
NEXT — EPISODE 26

値段を、上げることにしました

はじめた頃の値段のまま、三年が過ぎていました。上げたい。でも、あの人たちが離れたらどうしよう。

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※この記事は物語シリーズ「ひとりネイルサロン|みさきの物語」の解説記事です。 登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※記載の内容は一般的な情報をもとにまとめたものです。次回来店の目安となる期間は、 爪の伸び方・デザイン・生活習慣によって個人差があります。文例はそのまま使えるものではなく、 お店の雰囲気やお客様との関係にあわせて調整してください。

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