ネイルサロンのリピート|また来ますねで終わる理由

第1話 また来ますね、で終わりました|ひとりネイルサロン みさきの物語
リピート編 第1話

施術は喜んでいただけた。帰りぎわに「また来ますね」とも言ってもらえた。 それなのに、二度目がない——。自宅サロンをはじめて半年ほど経つと、多くの方がここでつまずきます。 この記事では、来なくなる理由と、次に来ていただくための考え方をまとめます。

この記事の要点
  1. 来なくなる理由は、不満よりも「忘れている」ほうが多い
  2. リピートは引き止めることではなく、次に来る理由を先に置いておくこと
  3. 最初の3回・90日を越えられるかが、いちばん大きな分かれ目
こんなこと、ありませんか
  • 「また来ますね」と言われたのに、連絡がない
  • 新規のお客様は来るのに、予約表がいつも埋まらない
  • 常連さんが3人いれば安心なのに、その3人ができない
  • 次回予約をすすめたいが、押し売りに思われそうで言えない
  • 来なくなった理由を知りたいけれど、本人には聞けない

「また来ますね」は、社交辞令ではありません

まず、ここを誤解しないでいただきたいのです。 帰りぎわのあの一言は、たいていの場合本心です。 その瞬間、お客様は本当にまた来るつもりでいます。

ただ、そこには日付が入っていません。 「また」は、いつでもいい、ということです。いつでもいい予定は、 仕事や家族の予定に押されて、少しずつ後ろへずれていきます。 そして三週間、四週間と経つうちに、ジェルは取れ、爪は伸び、 「今から連絡するのは、間が空きすぎて気まずいかもしれない」という気持ちが生まれます。

つまり、あなたの技術に不満があったから来ない、というケースは思うより少ないのです。 多くは、来ない理由が積み重なっただけです。

予約ノートを見ながら、来ていないお客様を思い出すみさき
理由は、聞けない。聞ける相手は、もう来ないから。

来なくなる理由は、だいたい3つに分かれます

「なぜ来てくださらなかったのですか」と直接うかがえないのが、この問題のいちばん難しいところです。 ただ、来店の間隔が空く要因は、大きく次の3つに整理できます。

理由 1

忘れている

不満はありません。ただ、日常に紛れて思い出す機会がなかった。もっとも多い理由です。

理由 2

タイミングを逃した

行こうと思った日に予約が取れなかった。あるいは間が空きすぎて、連絡しづらくなった。

理由 3

きっかけがない

次に何を頼めばいいか分からない。前回と同じでいいのか、迷っているうちに時間が過ぎた。

この3つに共通しているのは、どれも「あなたのせい」ではないということです。 そして同時に、どれも仕組みで減らせるということでもあります。

引き止めようとすると、かえって遠ざかります

リピートを増やそうとするとき、多くの方が最初に思いつくのは 「値段を下げる」「割引券を渡す」「熱心に次回をおすすめする」といった方法です。

ただ、これらはお客様が帰ろうとしている方向に、手を伸ばして引き止めるやり方です。 熱心にすればするほど、お客様の側には「断らなければ」という負担が生まれます。 そして人は、負担のある場所を避けるようになります。

引き止める(負担が増える)

  • 会計時に「次はいつ来られますか」と迫る
  • 期限つきの割引券を渡す
  • 来ないお客様に個別に連絡する
  • 値段を下げて、来やすくしようとする

先に置く(判断がラクになる)

  • 施術中に、次にきれいに保てる時期を伝えておく
  • 会計時は「日付を出すだけ」にする
  • 三〜四週間後に、全員へ同じ一声をかける
  • 値段は変えず、次に来る理由のほうを用意する

右の列に共通しているのは、お客様に「断る」という作業をさせていないことです。 情報が先に置いてあるだけなので、受け取るか受け取らないかを、 お客様が自分のペースで決められます。

引き止めなくていい。次に来る理由を、先に置いておく。
これが、このシーズンを通しての考え方になります。
3つの選択肢を並べて示す涼子先輩
「やり方は3つある。どれにする?」 ①値段を下げる ②回数券をつくる ③次に来る理由を、先に置く。 どれが正しいということではなく、続けられるものを選ぶ。

「先に置く」場所は、3つあります

では具体的に、どこに何を置くのか。順番に並べると、次のようになります。

1

施術中に、次の時期を伝えておく

「爪の状態的に、次は三〜四週間後がきれいに保てます」と、専門家として目安をお伝えします。 会計時ではなく施術中に言うのがポイントです。この時点では、まだ予約の話ではないので、 お客様に断る必要が生まれません。

2

会計時は、日付を出すだけにする

「次のご予約はいかがですか」と聞くと、お客様は「はい/いいえ」を答えることになります。 そうではなく「◯月◯日の午後が空いています」と具体的な日を出すと、 考える対象が「行くかどうか」から「その日でいいかどうか」に変わります。

3

三〜四週間後に、全員へ同じ一声をかける

個別に追いかけると、追われている感じが出ます。来店サイクルに合わせて、 全員へ同じ内容をお送りするほうが、受け取る側の負担が軽くなります。 「前回から四週間が経ちました」という事実だけで十分です。

この3つの具体的なやり方は、第2話以降でひとつずつ扱います。 ここでは、3つとも「先に置く」という同じ発想でできていることだけ、 つかんでいただければ十分です。

いちばんの分かれ目は、最初の3回

お客様が固定客になるかどうかは、初回ではなく2回目から3回目にかけて決まると言われています。 美容業界では「3回・90日の壁」という言い方がされることもあります。

回数お客様の状態置いておくもの
1回目 お店を「試している」段階。まだ比較対象のひとつ 次の時期の目安。次に何ができるかの提案
2回目 ここがいちばん抜けやすい。忘れられると戻らない 具体的な日付。前回の記録にもとづく一言
3回目 「行きつけ」に変わりはじめる。ここを越えると定着しやすい 好みの記録。次のデザインの相談

ネイルは三〜四週間ごとに通う業態ですから、3回目までは おおむね三か月ほどです。この三か月をどう設計するかが、リピートのほぼすべてと言っても 言いすぎではありません。

新しいお客様を探すより、先にここを整える

新規のお客様を集めるコストは、既存のお客様に続けていただくコストの 数倍かかると一般に言われています。にもかかわらず、 予約が埋まらないと、つい新規集客のほうへ手が伸びてしまう。

ただ、受け皿が整っていないまま新規を増やすと、 集めては抜けるという状態を、ずっと続けることになります。 順番としては、先にリピートの導線を整えてから、集客に力を入れるほうが、 結果的に早く落ち着きます。

ノートに次回の目安を書き込むみさき
引き止めるんじゃなくて、先に、置いておく。

「覚えていてくれた」が、いちばん効きます

仕組みの話をしてきましたが、最後にひとつだけ、 仕組みでは代えられないものについて触れておきます。

前回のデザイン、選んだ色、話した内容、爪の状態。 それを記録して、次にお会いしたときに「前回は◯◯でしたね」と自然に出せるかどうか。 これは、大きなサロンほど難しく、ひとりのサロンほどやりやすいことです。

お客様が「行きつけ」を決める理由は、技術や値段だけではありません。 自分のことを分かってくれている場所かどうかが、想像以上に効きます。 ノート1冊でかまいません。書いておくだけで、次に返せるものが増えます。

ノートを覗き込むあんず
書いておけば、次に返せる。

よくある質問

次回予約をおすすめすると、押し売りに思われませんか。
会計時にいきなり切り出すと、そう感じさせてしまうことがあります。 施術中に「次は三〜四週間後がきれいに保てます」とお伝えしておくと、 会計時には確認するだけになります。言う場所を前倒しするだけで、 受け取られ方はかなり変わります。
来なくなったお客様に、連絡してもよいものでしょうか。
個別に「最近お見えになりませんね」とお送りすると、 催促に受け取られることがあります。全員に同じ内容をお送りする形にして、 その中に含める形のほうが、受け取る側の負担が軽くなります。
リピート率は、どのくらいあれば良いのでしょうか。
立地・単価・客層によって大きく変わるため、 一律の目安を申し上げるのは難しいところです。他店と比べるよりも、 ご自身のお店の数字を、月ごとに並べて見るほうが役に立ちます。 増えているか減っているかが分かれば、それで十分です。
常連さんが増えると、新しい方を受けられなくなりませんか。
ひとりで運営される場合、いずれ席の数が上限になります。 ただ、その状態は「選べる」状態でもあります。 埋まってから、営業日や料金を見直す順番のほうが、無理がありません。
開業したばかりで、まだ常連さんがいません。何から始めればよいですか。
記録から始めてください。お客様が少ないうちは、 ノートに書くことが少なくて済みます。人数が増えてから始めようとすると、 ほぼ続きません。いちばん暇な時期に、いちばん地味な習慣をつくるのが結局は近道です。
別の商売の話ですが

二度と来ない商売を、十年やってきました

わたしは本業で、リゾート地の結婚式に着ていただく衣装を貸す仕事を、 十年以上続けています。結婚式は、多くの方にとって一生に一度です。 つまり、同じお客様がもう一度いらっしゃることは、ほとんどありません

はじめの数年は、それを当たり前だと思っていました。 ところがあるとき、お問い合わせの中に「友人から聞きました」と書かれているものが、 少しずつ増えていることに気づきました。 リピートのない商売でも、次の方はいらっしゃる。ただし、来る道筋が違っていたのです。

それに気づいてから、最後のやりとりに手をかけるようになりました。 もう来ない方に、丁寧にお返しする。効率だけを考えれば、削ってよい部分です。 ただ、わたしの経験では、いちばん最後の印象が、いちばん人に話されやすいように思います。

ネイルは、三〜四週間ごとに通っていただける商売です。 わたしから見ると、それはとても恵まれた条件に見えます。

みなさまのお店では、どうでしょうか。

引き止めなくていい。
次に来る理由を、先に置いておく。
ネイルサロン専用・3日納品

「先に置く」場所を、ひとつ増やす

メニュー・料金・次回の目安をまとめて置いておける場所があると、 同じ説明を毎回しなくて済みます。ネイルサロン専用のホームページを、 5つのデザインからお選びいただけます。

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第2話 次の日を、決めておきました
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次の日を、決めておきました

「次のご予約はいかがですか」が、どうしても言えない。売り込みに思われるのが怖いから。 でも、言う場所を変えたら、言わなくて済むようになりました。

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※この記事は物語シリーズ「ひとりネイルサロン|みさきの物語」の解説記事です。 登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※記載の内容は一般的な情報をもとにまとめたものです。リピート率・来店間隔の目安は 地域・客層・単価・営業形態によって異なります。数値はいずれも参考であり、 特定の成果をお約束するものではありません。

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