グリーンネイルを見つけたら|サロンがその日にすることと、伝え方の文例

第3話 今日は、塗りません|ひとりネイルサロン みさきの物語
トラブル編 第3話

オフをして、手が止まる。爪の一部が、緑がかっている—— いわゆるグリーンネイルです。慌てて調べても専門用語ばかりで、 誰にも聞けないまま、目の前にはお客様がいらっしゃる。 この記事では、見つけたその場でどうするかと、 不安にさせずにお伝えする言い方をまとめます。

この記事の要点
  1. 見つけたら、その日はジェルをのせない
  2. サロンは診断も治療もしません。受診をお勧めするのが正しい対応です
  3. 伝え方さえ決めておけば、お客様を不安にさせずに済みます
あるある、ありませんか
  • オフをしたら緑がかっていて、頭が真っ白になった
  • お客様に何と言えばいいか分からず、そのまま塗ってしまった
  • 自分の消毒が足りなかったのかと、ずっと気にしている
  • 削れば落ちるのか、それとも触ってはいけないのか分からない
  • 同業には、こんなこと恥ずかしくて聞けない

ひとりでやっていると、いちばん相談しにくい場面です。 先に手順を決めておけば、その場で悩まずに済みます。

グリーンネイルとは|爪が緑色に変色する状態

自爪とジェルのあいだに菌が入り込んで繁殖し、 爪が緑色から濃い緑、黒っぽい色に変色した状態を、 一般にグリーンネイルと呼びます。原因菌としては緑膿菌が挙げられることが多いようです。

特徴として知っておきたいのは、次の3点です。

特徴 1

痛みやかゆみが出にくい

自覚症状が乏しいため、オフをして初めて分かることがほとんどです。

特徴 2

湿った環境で広がりやすい

ジェルが浮いた隙間に水分が入り込んだままになると、条件が整ってしまいます。

特徴 3

色は簡単には落ちない

変色した部分は、爪が伸びて生え変わるまで残ることがあると言われます。

ここから先は、サロンの領分ではありません。
色の原因が何であるか、どう対処すべきかを判断できるのは医療機関です。 ネイリストの役割は、見つけて、施術を止めて、受診をお勧めするところまでです。

見つけたら、その日はジェルをのせない

いちばん大事な判断がこれです。迷う必要はありません。 変色に気づいたら、その日の施術は行いません。

なぜ、上から塗ってはいけないのか

ジェルをのせると、その部分を密閉することになります。 湿った状態が保たれやすくなり、状態が進む可能性があると言われています。

また、次にオフをするまで誰も気づけません。 お客様がご自身で異変に気づく機会を、こちらが塞いでしまうことになります。

やってはいけないこと

  • 色が見えないように、上からジェルをのせる
  • 削って色を落とそうとする(自爪を薄くします)
  • 消毒液などで処置しようとする
  • 「大丈夫ですよ」と言い切る
  • 病名を断定して伝える

その場ですること

  • オフまでで施術を止める
  • 見えている状態を、そのまま言葉にして伝える
  • 皮膚科の受診をお勧めする
  • 写真と日付を記録しておく
  • 次回のご予約は、いったん保留にする

売上はその日ゼロになります。それでも、ここは損得で判断する場面ではありません。 上から塗って進行した場合、失うものはその日の施術料では済まなくなります。

施術を止めて、ダッカールを外すみさき
今日は、ジェルをのせずにおきますね。

お客様への伝え方|不安にさせずに、受診をお勧めする

ここがいちばんむずかしいところです。 伝え方を間違えると、お客様を強く不安にさせるか、逆に軽く受け取られてしまいます。

原則は2つです。見えたことだけを言う。判断は医療機関にお任せする。

言ってはいけない言い方

✕ これ、グリーンネイルですね。カビですよ。
✕ 大丈夫です、そのうち治りますから。
✕ 水仕事が多いからですね。ちゃんと乾かさないと。

1つめは診断にあたります。2つめは保証です。 3つめは、原因をお客様のせいにしています。どれも、サロンが言うことではありません。

そのまま使える文例

○ オフをしたところ、爪の一部の色が変わっているところがありました。 わたしでは原因が判断できませんので、今日はジェルをのせずにおきますね。 一度、皮膚科でご相談いただけますでしょうか。

この言い方には、必要なものが全部入っています。

要素役割
色が変わっている見えたことだけを言っている(診断していない)
わたしでは判断できないできないことを、正直に伝えている
今日はのせずにおくこちらの判断として提示している
皮膚科でご相談を次の行き先を示している

不安にさせないコツは、淡々と言うことです。 こちらが慌てると、お客様はもっと慌てます。 「よくあることなので、一度みていただければ大丈夫だと思います」と添えると、和らぎます。

驚く涼子先輩
え、その日の売上、ゼロにしたの?

なぜ起きるのか|浮きと水分

原因を知っておくと、次から防げます。 多くの場合、ジェルが浮いた隙間に水分が入り、そのままになったことが関係していると言われます。

起きやすい条件

  • 浮いたまま長く放置されている
  • 水仕事や手洗いの回数が多い
  • 付け替えの間隔が空きすぎている
  • 自爪が薄く、浮きやすい状態

減らすためにできること

  • 浮いたら早めにご連絡いただくよう、施術時にお伝えする
  • 付け替えの目安を、こちらから提示する
  • 浮きやすい方には、長さやデザインを調整する
  • 前処理の工程を、自分の中で固定する

お直しの記事でも触れましたが、 「浮いたら連絡してください」と先に言っておくことが、ここでも効いてきます。 浮きの相談は、めんどうな連絡ではなく、防ぐための連絡です。

起こさないための、衛生の基本

器具の取り扱い

ファイル、ニッパー、プッシャー。 お客様ごとに消毒するか、使い捨てにするかを決めておきます。 「だいたい毎回」ではなく、手順として固定してください。

具体的な消毒の方法や薬剤の選び方は、 お使いの器具のメーカー説明や、公的機関の衛生に関する情報をご確認ください。 ここは自己流にせず、根拠のある手順に合わせるところです。

気づいたときの記録

変色を見つけたら、写真と日付を残しておきます。 争うためではありません。次回いらしたときに変化が分かるようにするためと、 お客様が受診されるときの説明の助けになるためです。

記録は、責任の話ではなく、経過の話です。
「前回はこの範囲でした」と言えることが、いちばんお客様の役に立ちます。
理由を話すみさきと、納得する涼子先輩
わたしなら、そうしてほしいから。

お客様がご自身で検索して来られたとき

最近は、変色に気づいたお客様がご自分で調べてから連絡してこられることも増えました。 「グリーンネイルかもしれないんですが、施術できますか」というお問い合わせです。

このときの答えも、来店時と同じで構いません。

○ ご連絡ありがとうございます。 拝見してみないと分かりませんが、色が変わっている場合はジェルをのせないようにしております。 オフとケアだけでしたら承れますので、その後に皮膚科でご相談いただく形はいかがでしょうか。

ここでのポイントは、お断りにしないことです。 「うちでは対応できません」と返してしまうと、 行き場を失ったお客様が、そのまま別のサロンで上から塗ってもらうことになりかねません。

オフとケアまでは承る。そのうえで受診をお勧めする。 この形なら、お客様にとっても、こちらにとっても悪くありません。

ネット情報との付き合い方

検索して来られた方は、すでに何かしらの情報を持っています。 なかには、こちらの説明と食い違う内容もあるはずです。

そこで議論しないでください。 「わたしでは判断できないので、専門の方にみていただきましょう」で統一します。 どんな情報を持ってこられても、この一言で受けられます。

再開の目安と、次回のご案内

いつから再開できるかは、医療機関のご判断によります。 サロン側で「◯週間空ければ大丈夫」と決めることはできません。

お客様には、こうお伝えしておくと親切です。

○ 受診されて、ジェルをしても問題ないと言われましたら、 またご予約くださいね。それまでのあいだ、ケアだけでしたら承れます。

ここで大事なのは、お帰りいただくのではなく、戻ってくる道を残しておくことです。 「また来てください」の一言がないと、気まずさから足が遠のいてしまいます。

グリーンネイルに関するよくある質問

お客様が「気にしないから塗って」とおっしゃいます。
お気持ちは分かりますが、お断りしてください。 「わたしの技術では、この状態の上に安全にのせられません」と、 技術上の理由としてお伝えすると角が立ちません。 お客様のためではなく、自分にはできない、という形にするのがコツです。
わたしの消毒が足りなかったのでしょうか。
断定はできません。浮きや水分など、施術後の環境が関係することも多いと言われます。 ただ、原因を探すより、手順を固定するほうが再発は減ります。 今回をきっかけに、消毒の工程を書き出して固定してみてください。
削って色を落としてはいけませんか。
削ると自爪が薄くなり、かえって浮きやすい状態を作ってしまいます。 色を落とすことは目的ではありません。受診をお勧めするところまでが、サロンの範囲です。
この日の施術料は、いただいてよいのでしょうか。
オフのみの料金として頂戴する方もいれば、無料とする方もいます。 決まりはありませんので、先に決めておいて、メニュー表に書いておくのがいちばんです。 その場で考えると、たいてい言い出せなくなります。
ほかのお客様にうつることはありますか。
感染の可能性については、サロンが判断できる領域ではありません。 だからこそ、器具の消毒と使い捨ての手順を、お客様ごとに固定しておくことが答えになります。 「毎回きちんとしている」と言える状態にしておいてください。
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言いにくいことこそ、先に書いておく。

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第5話 ぜんぶ、話しました
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ぜんぶ、話しました

インターホンが鳴った。お客様ではなく、お隣の方でした。お店を続けられるかどうかの話です。

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※この記事は物語シリーズ「ひとりネイルサロン|みさきの物語」の解説記事です。 登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※本記事は医学的な診断・治療に関する情報を提供するものではありません。 爪や皮膚の変色・痛み・腫れなどが見られる場合は、自己判断をせず、 必ず皮膚科などの医療機関を受診してください。
※衛生管理・消毒の具体的な方法については、お使いの器具や薬剤の説明、 および公的機関の情報をご確認のうえ、ご自身の責任においてご判断ください。

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