段ボールを車に積み終えて、玄関で靴を履きました。 何か言おうと思っていたのに、出てきたのは「じゃあ、行くね」だけでした。 この記事では、実家を出る日の挨拶と、言えなかった言葉の残し方をまとめます。
- 挨拶は一言で足ります。長い言葉を用意しなくていい
- いまは「実家を出る日」が3つに分かれています
- その場で言えなかった言葉は、あとから写真と一緒に渡せます
- 実家を出る日に、親に何か言うべきか迷っている
- 言いたいことはあるのに、照れくさくて言えそうにない
- 結婚式をしないので、「花嫁の手紙」を読む場がない
- 同棲からそのまま結婚して、出る日はもう過ぎてしまった
- 泣いてしまいそうで、何も言えない気がする
「実家を出る日」は、いつなのか
昔は、実家を出る日といえば式の当日の朝でした。 支度を整えて、両親の前に座り、「お世話になりました」と頭を下げる。 ドラマで見るあの場面です。
いまは、そうとは限りません。 同棲を始めてから入籍する人、式を挙げない人、式の前に新居へ移る人。 実家を出る日は、人によって違う日になりました。
| 実家を出る日 | 多い場面 | 挨拶のしやすさ |
|---|---|---|
| 引っ越しの日 | 同棲・新居への転居。荷物の運び出しで慌ただしい | 言いにくい。玄関先で一言になりがち |
| 入籍の日 | すでに家を出ている人が、報告に立ち寄る | 言いやすい。「今日、出してきた」が切り出しになる |
| 式の前日の夜 | 式を挙げる人。前日を実家で過ごす | いちばん言いやすい。時間もある |
どの日でも構いません。 「この日に言う」と自分で決めておくことだけが大事です。 決めていないと、たいてい言いそびれます。
もう用意されていません。自分で作るものになりました。
何を言えばいいか
長い言葉は要りません。 入れるとすれば、次の3つのうち、どれか1つで十分です。
ありがとう
育ててくれたこと。ここまで見守ってくれたこと。具体的な思い出を1つ添えると、言葉が軽くなりません。
これからのこと
「ふたりで、ちゃんとやっていく」。親がいちばん聞きたいのは、感謝より安心かもしれません。
また来る
「出ていく」ではなく「また来るね」。離れるのは家であって、家族ではないと伝わります。
3つ全部を言おうとすると、たいてい途中で詰まります。 1つだけ決めて、それだけ言う。そのほうが、ちゃんと届きます。
挨拶の例
場面ごとに、そのまま使える形でまとめます。 言い回しは、ふだんの話し方に直して構いません。
引っ越しの日(玄関で)
短く言うなら
「いままでありがとう。また来るね」
少しだけ足すなら
「長いあいだ、お世話になりました。近いから、すぐ顔を出すよ。お父さんのこと、よろしくね」
入籍の日(報告に立ち寄って)
報告と一緒に
「今日、届けを出してきました。ここまで育ててくれて、ありがとう。ふたりで、ちゃんとやっていきます」
式の前日の夜
座って話せるなら
「明日から、苗字が変わります。小さいころ、熱を出すたびに夜通しそばにいてくれたこと、覚えています。今日まで、本当にありがとうございました」
父へ、母へ、それぞれに
| 相手 | 言いやすい一言 |
|---|---|
| 父へ | 「いろいろ言ったけど、感謝してる」「体、大事にしてね」 |
| 母へ | 「お弁当、ずっとありがとう」「困ったら、すぐ電話する」 |
| 照れくさいとき | 「……ありがとね」。これだけでも、十分に伝わります |
男性の場合も、同じです。 「嫁ぐ」「嫁に出す」という言い方をしない家も増えました。 男女どちらが家を出る場合でも、上の言葉はそのまま使えます。
その日に、撮っておきたい写真
挨拶と同じくらい、あとから「撮っておけばよかった」と言われるのが写真です。 実家を出る日は、家族がそろう最後の日常でもあります。 慌ただしくても、次の5枚だけは撮っておくと、あとで言葉を添えるときの手がかりになります。
| 撮るもの | なぜ残すか |
|---|---|
| 玄関で、親と並んで | その日の顔は、その日にしか撮れません。三脚がなければ、スマホを靴箱に立てて |
| 空になった自分の部屋 | 何年も過ごした部屋が、何もない状態になるのは一度だけです |
| 台所に立つ親の後ろ姿 | いちばん見慣れた姿ほど、写真に残っていません |
| 柱の傷、壁の落書き | 背を測った跡や、子どものころの印。家を手放すと、二度と見られなくなります |
| 車に積んだ荷物と、実家の外観 | 「ここから出発した」という1枚。新居の最初の写真と対になります |
うまく撮れなくて構いません。 その日の空気が写っていれば十分です。 きれいな写真は、このあといくらでも撮れます。
言えなかったら、どうするか
実際には、ほとんどの人が言えません。 荷物の運び出しで慌ただしく、親の側も、改まった空気を避けようとします。 「じゃあね」「気をつけて」で終わるのが、ふつうです。
それで構いません。 言えなかった言葉は、あとから渡すことができます。
その日の写真と一緒に、あとから渡せばいい。
昔は「花嫁の手紙」があった
式を挙げる人には、披露宴の終わりに親への手紙を読む場が用意されていました。 言えなかったことを、決まった時間に、決まった形で伝えられる。 式の中でも、いちばん泣く人が多い場面です。
2023年7月から2024年6月に結婚した人への調査では、「結婚式を行った」は36.0%、「行う予定」は22.2%でした (マイナビウエディング「2024年 結婚・結婚式の実態調査」2024年7月)。 手紙を読む場そのものが、ない人も多いのです。
だからといって、手紙を書かなくていいわけではありません。 場がないなら、渡し方を変えればいい。 書き方と渡し方は、花嫁の手紙の回にまとめました。
写真とことばのページにするなら
手紙と写真を、1つにまとめる形です。 作るときは、次の3つだけ決めておくと迷いません。
写真は10枚から
生まれた日、入学式、家族旅行、実家を出る日の1枚。全部を並べようとせず、言葉を添えたい写真だけを選びます。
言葉は1枚に1行
長い手紙を書かなくて構いません。写真ごとに「このとき、ありがとう」を1行ずつ。言えなかった言葉は、ここに置けます。
家族だけが見られる形に
親がスマホで開けること。そして、見せる相手を家族に限れること。この2つがそろえば、親は何度でも開いて見られます。
手紙は、渡した日に読まれて、しまわれます。 写真とことばのページは、渡したあとも手元に置いておけます。 新居の写真、ふたりで出かけた先、いつか生まれるかもしれない子ども。 あとから写真を足していけば、実家を出た日から始まる記録になります。
みさきの、実家を出た日
みさきが実家を出たのは、写真を撮る日の3か月前でした。 新居の鍵を受け取った週の土曜日です。
荷物を積み終えたとき、母は台所にいました。 みさきは玄関から「じゃあ、行くね」と声をかけました。
母は手を拭きながら出てきて、 「冷蔵庫の煮物、持っていきなさい」と言いました。 それが、その日の会話のすべてでした。
車の中で、言おうと思っていたことを思い出しました。 小学生のころ、毎朝髪を結んでもらっていたこと。 受験の前の晩、夜食を作ってくれたこと。 どれも、言えませんでした。
写真を撮った日の朝、支度をしながら母が言いました。 「今日まで、あっという間だった」。
みさきはそのとき、ようやく「ありがとう」と言えました。 あの煮物の日に言えなかったことも、少しだけ。
その日の写真と、母のその一言は、いまもふたりのページの最初に置いてあります。
あとから渡せばいい。
よくある質問
写真とそのときのことばを、1つのページに
式をしない日にも、写真は残ります。子どものころの1枚と、その日のことばをまとめておけます。
写真を送っていただくだけで、こちらでお作りします。29,800円(税込・買い切り)。公開の期限はありません。
結婚のお知らせを、1枚にして送る
職場に、友人に、遠くの親戚に。LINEで送れる手紙にする方法もあります。
※この記事は物語シリーズ「みさきの、結婚式をしない選択」の1話です。
登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。
提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※記載の内容は一般的な情報をもとにまとめたものです。
作法や慣習は、地域・家庭・宗派によって異なります。
ご家族と相談のうえ、ご判断ください。
