「3日で取れちゃったんですけど」。この一言に、毎回ゼロから悩んでいませんか。 無料でやり直すべきなのか、それとも生活のせいなのか—— 判断がその都度ぶれると、お客様ごとに違う対応になってしまいます。 この記事では、お直しの線をどこに引くか、そのまま使える文例までまとめます。
- もめる原因は技術ではなく、基準を先に決めていないこと
- 決めるのは「期間・範囲・料金」の3つだけでいい
- 基準はメニュー表に書いて、口で言わずに済む状態にする
- お直しを頼まれるたび、無料にするか毎回悩んでいる
- あの人には無料、この人には有料。基準が自分でも曖昧
- 「有料です」と言えず、結局いつも無料で直している
- 自分の技術が悪かったのかと、そのたびに落ち込む
- お直しの予約で、本来の予約枠が埋まってしまう
お直しは、ネイルの仕事につきものです。 なくすものではなく、あらかじめ組み込んでおくものと考えてください。
ネイルのお直しでもめるのは、技術ではなく「基準がない」から
「3日で取れた」と言われると、まず自分の技術を疑ってしまう方が多いと思います。 もちろん原因がこちらにあることもありますが、もめるかどうかは、それとは別の話です。
もめるのは、基準が決まっていないからです。 決まっていないと、その場の空気で決めることになります。 そして空気で決めた対応は、次のお客様に説明できません。
基準がないとき
- 言いやすい人には有料、言いにくい人には無料
- その日の気分と疲れで判断が変わる
- 「前は無料だったのに」と言われる
基準があるとき
- 誰にでも同じ答えになる
- 迷う時間がゼロになる
- 断っているのではなく、決まりを伝えている形になる
ここがいちばん大事なところです。 基準があると、断る場面そのものが消えます。 言いにくいことを言う勇気ではなく、言わなくて済む仕組みのほうを用意します。
ジェルネイルが取れる原因を、症状から切り分ける
基準を決める前に、そもそも何が起きているのかを整理しておきます。 ひとくちに「取れた」と言っても、症状によって考えられる原因は違います。
| 症状 | 主に考えられること | どちら寄りか |
|---|---|---|
| 2〜3日で全体が浮いた | 前処理・サンディング・油分除去 | こちら側 |
| 根元から1本だけ浮いた | 甘皮の被り、自爪の状態 | 半々 |
| 先端が欠けた・折れた | 水仕事、爪を道具にする癖 | 生活側 |
| ストーンやパーツが取れた | 接着面の広さ、厚みのバランス | 半々 |
| 2週間以降に浮いてきた | 爪が伸びたことによる自然な現象 | どちらでもない |
ジェルが浮く・剥がれるとき
施術から2〜3日で全体が浮く場合は、前処理の工程を見直す価値があります。 一方で、根元から1本だけという場合は、その日の爪の状態によることもあります。
欠ける・折れる・パーツが取れるとき
先端の欠けや折れは、生活のなかで起きていることがほとんどです。 ここを無料の対象にするかどうかが、基準づくりのいちばんの分かれ目になります。
この表を持っておくと、反射的に自分を責めなくて済みます。 そして同時に、こちら側の原因だったときには、迷わず引き受けられるようになります。
同じことが起きないように、次の施術で何を変えるかを決めるためのものです。
お直しの基準は「期間・範囲・料金」の3つで決まる
お直しの基準は、複雑にする必要がありません。 期間・範囲・料金。この3つを決めれば、ほぼすべての場面に答えが出ます。
期間
いつまでを無料にするか。施術日を含む3日間ほどを目安にする例が多いようです。
範囲
何を無料にするか。浮き・剥がれは対象、ぶつけて欠けた場合は対象外、など。
料金
期間や範囲を外れたときの金額。1本いくら、という形が伝えやすい形です。
金額の相場は、亀裂の補修で1本あたり数百円から、 あるいは施術料金の1割程度を目安とする例が見られます。 ただし地域やメニュー構成によって幅がありますので、ご自身の価格に合わせてご判断ください。
メニュー表・予約フォームへの書き方の例
決めたら、必ず文字にしてお客様が見える場所に置きます。 メニュー表、予約フォームの確認事項、LINEの自動応答。どこでも構いません。
施術日を含む3日以内の浮き・剥がれは、無料でお直しいたします。
それ以降、または欠け・折れ・パーツの紛失については、1本◯◯円を頂戴しております。
ご来店が難しい場合は、次回のご予約時にあわせて承ります。
この3行があるだけで、その場で言わなくて済むようになります。 お客様も、聞く前に自分で分かります。
お直しを無料にするとき・有料で案内するときの伝え方
基準を決めても、伝え方でつまずくことがあります。 場面ごとの言い方を、3つ用意しておきます。
保証期間内で、こちらに原因があるとき
条件をつけないこと。ここで「本来は」「今回だけは」と足すと、 せっかくの対応が値引きされてしまいます。
保証期間内だが、生活が原因と思われるとき
無料にしつつ、基準は伝えています。「今回は」と言えているので、次から線が引けます。 原因を問い詰める必要はありません。
保証期間を過ぎているときの、断り方と案内のしかた
言いにくくなる言い方
- 「すみません、3日を過ぎてしまっているので……」
- 「本来なら有料なんですが」
- 「ちょっと難しくて」
言いやすくなる言い方
- 「3日目以降のお直しは1本◯◯円で承っております」
- 「ご予約はこちらから承れます」
- 「次回のご予約とあわせることもできます」
違いは、謝っているか、案内しているかです。 決まっていることを伝えるだけなので、謝る必要はありません。 謝ると「交渉の余地がある」と受け取られることがあります。
お直しを減らす、施術中と施術後のひと言
ここまでは、起きたあとの話でした。最後に、起きる前にできることを書いておきます。
お直しの連絡の多くは、施術中のわずかな会話で減らせます。 むずかしい説明ではありません。気づいたことを、その場で一度だけ口に出しておくだけです。
気づいたら、その場で伝える
- 「お仕事で水を使われますか」——聞いておくと、もちの説明につながります
- 「今日は爪が少しやわらかいので、いつもより短めにしますね」
- 「この長さだと、引っかけやすいかもしれません」
- 「ストーンは、ぶつけると取れることがあります」
言わずに済ませると
- 取れたときに、すべてが技術の問題として扱われる
- こちらも、原因を説明する言葉を持てない
- お客様も、防ぎようがない
大切なのは、言い訳ではなく予告として言うことです。 取れたあとに「水仕事が多いとおっしゃっていたので」と言うと言い訳になりますが、 施術中に言っておけば、それは説明になります。同じ内容でも、順番が違うだけで受け取られ方が変わります。
お会計のときに、保証期間をもう一度伝える
施術が終わってお会計のとき、ひと言だけ添えておきます。
これを言っておくと、二つの効果があります。 ひとつは、3日という基準を、こちらから先に伝えられること。 もうひとつは、連絡してもいいと分かるので、黙って離れていかれるのを防げることです。
お直しの連絡が来るのは、実はありがたいことでもあります。 何も言わずに来なくなる方のほうが、はるかに多いからです。
それでも納得いただけないとき|クレームに変わったら
基準を伝えても、受け入れていただけないことはあります。 そのときは、お直しの問題ではなく、トラブル対応の問題に変わります。
判断の流れは、 第1話「トラブルが起きた、最初の30分」 にまとめています。要点だけ書くと、こうなります。
この場合の考え方
- その場で答えず、いったん持ち帰る
- 説明していたかどうかを確認する
- 説明不足なら、そこは詫びる
- 伝えていたなら、損失額と信念の二軸で決める
ここでやらないこと
- その場で無料に切り替える
- 原因について言い合いになる
- ほかのお客様の事例を持ち出す
ネイルのお直しに関するよくある質問
お直しの基準と、そのまま使える文例
期間・範囲・料金の3つを埋めるだけ。メニュー表への書き方と、場面別の伝え方の文例をA4・1枚にまとめました。
※この記事は物語シリーズ「ひとりネイルサロン|みさきの物語」の解説記事です。
登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※記載の日数・金額はいずれも一般的な目安であり、地域・メニュー・技術内容により異なります。
保証やお直しの条件は、ご自身の状況にあわせてご判断ください。
※爪や指に痛み・赤み・腫れ・変色などの異常が見られる場合は、自己判断をせず、
医療機関の受診をお勧めしてください。
