連絡のないキャンセルが、3回目。空いた2時間と、開けてしまった材料が残りました。 厳しくしたら来てくれなくなる気がして、ずっと決められずにいた—— この記事は、ルールの作り方と、それでも使えなかった話です。
- ポリシーは開示していなければ、そもそも請求できない
- 効くのは厳しさではなく、事前に知らせてあるかどうか
- 作ったルールが最初から使えなくても、それでいい
- キャンセルポリシーを、まだ決めていない
- 決めてはいるが、どこにも書いていない
- 「今回だけ」で流したことが、何度かある
- キャンセル料をいただくと、感じの悪いサロンだと思われそうで怖い
- 当日キャンセルの連絡に、「大丈夫ですよ」と返してしまった
- 空いた時間より、開けてしまった材料のほうが悔しかった
- もう来ないでほしい、と一瞬でも思った自分に落ち込んだ
失うのは、売上だけではありません
連絡のないキャンセルで消えるものを、並べてみます。
| 失うもの | 説明 |
|---|---|
| その枠の売上 | 直前では埋め直せない。1人あたり数時間の枠が丸ごと空く |
| 準備した材料 | 開けてしまったものは戻せない |
| 断った他のご予約 | その枠を希望されていた方を、すでにお断りしている場合も |
| 空けておいた生活の時間 | 家族の予定を動かして確保した時間が、何も生まないまま終わる |
いちばん下が、ひとりサロン特有の痛みだと思います。 その2時間のために、家族に頼んだことがある。 だから、売上以上に応えるものがあります。
知っておきたい、ひとつの事実
キャンセル料について、まず押さえておきたい点があります。
つまり「本当はいただきたかった」と後から思っても、 先に伝えていなければ、その権利がそもそもないということです。
逆にいえば、書いておくだけで立場が変わります。 厳しいルールを作る勇気の話ではなく、書いてあるかどうかという事実の話です。
そして、事前に知らされていれば納得されます
消費者庁の調査では、キャンセル料に不満を感じなかった理由の第1位が 「事前に知っていたから」で、6割を超えていました。
これは、こわがっていたことの答えになっています。 お客様が嫌がるのは、キャンセル料そのものではなく、聞いていなかったことです。
不満につながりやすい
- 予約時に何も説明がない
- キャンセルの連絡をしてから、はじめて料金の話が出る
- 人によって対応が違う
- 金額の根拠が分からない
納得されやすい
- 予約ページに最初から書いてある
- 予約確定の連絡にも同じ文章が入っている
- 誰に対しても同じ扱い
- いつまでなら無料か、はっきりしている
3段階から選ぶ
ネイリスト向けのサービスでも、3段階から選ぶ方式が使われています。 ご自身の客層と体力に合わせて選んでください。
キャンセル料はいただかない方針。開業直後で、まずは来ていただくことを優先したい時期には現実的です。 ただしポリシーが無いのとは違います。「無料です」と書いてあること自体に意味があります。
もっとも一般的な形です。前日までなら気軽に変更できるという安心を残しつつ、 当日分は守られます。美容業界でも、当日は施術料金の一部という設定が多く見られます。
予約が常に埋まっていて、キャンセル待ちの方がいる場合に成立します。 お待ちの方に申し訳が立たないという理由が説明できるからです。
あわせて遅刻の扱いも決めておくと安心です。 一定時間を超えた遅刻は施術時間を短縮する、あるいはキャンセル扱いとする、 という規定が一般的です。先に書いてあれば、当日に判断しなくて済みます。
書く場所は、3か所
第2話と同じ考え方です。決めただけでは効きません。
| 置く場所 | 役割 |
|---|---|
| 予約ページ・予約フォーム | 予約する前に目に入る。ここが本体 |
| 予約確定時の返信文 | 定型文に入れておけば、全員に必ず届く |
| プロフィール・ハイライト | あとから確認したくなったときの置き場所 |
2行目がいちばん確実です。予約が確定するたび、自動的に伝わります。 こちらが毎回言葉を選ぶ必要もありません。
「恐れ入りますが」の一言で、印象はずいぶん変わります。 ルールを伝えることと、冷たくすることは別です。
それでも、使えませんでした
ここからが、この回の本題です。
みさきはポリシーを作りました。予約フォームにも、確認の連絡にも、 同じ文章を入れました。準備は、すべて終わっていました。
そして数日後、当日キャンセルの連絡が届きます。 画面には、自分で書いたはずのポリシー。 それでも打てたのは、「大丈夫ですよ」の一言でした。
この回に、きれいな解決はありません。
ただ、ひとつだけ言えることがあります。 作っておかなければ、次も同じでした。 今回は使えなかったけれど、次に同じ場面が来たとき、 「使うかどうか」を選べる状態にはなっています。 何もない状態とは、まったく違います。
作っておいて、使えるようになるまで待つものでもあります。
決めたことは、あとから変えていい
最後に、開業前の方がいちばん固まってしまう思い込みについて。
一度決めたルールは、変えてはいけない——そんなことはありません。
実際に、長く続けている自宅サロンの中には、 「これまでは当日キャンセル料をいただいていませんでしたが、 今後は頂戴することにしました」と、変更したことを正直に告知している方がいます。
過去の運用を隠さず、これからこうしますと伝える。 それだけで、お客様は受け入れてくださいます。
変更するときのコツは3つです。いつから変わるかを日付で示すこと。 変えた理由を書くこと。そして、責めないこと。
「守らない人がいるので」と書くと、守っている方まで責められた気持ちになります。 「お時間を確保しているため」であれば、誰も傷つきません。
よくある質問
キャンセルポリシー 3段階+ひな形
やさしい・ふつう・きびしいの3段階を比較。予約確定文と、 あとから変更するときの告知文のひな形もつけています。
- 第1話 見せるサンプルを3つに絞る(迷う時間を作らない)
- 第2話 当日予約を受ける日と内容を、先に書いておく
- 第3話 全員に同じ、揺れない料金表を持つ
- 第5話 持ち込みは、できる範囲と時間と金額をメニューにする
- 第6話 キャンセルポリシーを決めて、必ず先に伝える
並べてみると、すべて同じことをしています。 その場で判断するのをやめて、先に決めて、書いておく。
断る勇気を持つ必要はありませんでした。 断らなくて済む形を、先に作っておけばよかった—— それが、運営編でお伝えしたかったことです。
※この記事は物語シリーズ「ひとりネイルサロン|みさきの物語」の解説記事です。
登場人物はすべてフィクションであり、実在しません。提供:WebエンジンPro(株式会社MASA)
※キャンセルポリシーの内容・料率・文例はすべて一例です。法的な効力や適切な設定は
ご自身の状況によって異なりますので、判断に迷う場合は専門家にご確認ください。
※第4話は物語のみの回のため、解説記事はありません。
※画像はAIで作成したイメージです。
