あおいへ

20年分の『おめでとう』を込めて

※静かな場所で、ゆっくり下へ進んでください

言えなかった一言

生まれた日
生まれた日。病室で、生まれたばかりのあおいを抱くお母さん

小さな手が、お母さんの指をぎゅっと握りました。この子のためなら何でもできる、と思ったのは、あの瞬間です。

小学校入学
小学校の入学式。桜の校門の前で、大きなランドセルを背負うあおい

入学の前の晩、持ち物ぜんぶに、夜中まで「あおい」と名前を書きました。一文字書くたびに、この名前を決めた夜を思い出していました。

反抗期
中学生のころの朝。玄関を出ていく、制服のあおいの後ろ姿

返事がなくても、毎朝「いってらっしゃい」だけは言い続けました。ある朝、小さな「いってきます」が聞こえた日、お母さん、洗面所で少し泣いたんだよ。

旅立ちの日
旅立ちの日。駅の改札の前で、スーツケースを持って振り返り、手を振るあおい

「大丈夫だから」と笑って改札を通ったあなた。見えなくなってから、お父さんは「行ったな」とだけ言って、帰りの車ではひと言もしゃべりませんでした。

思い出の品

たとう紙の中にしまってあった、お母さんの振袖

おばあちゃんが、お母さんの二十歳のために選んでくれた振袖です。いつか娘が生まれたら着せたいと、28年間、たとう紙の中で待っていました。袖を通したあなたは、あの日のお母さんより、ずっときれいでした。

写真のない日

お父さんとお母さんだけが知っていること

  1. 2006年名前の候補を書いた紙で、テーブルがいっぱいになった夜。最後に、お父さんが「葵」と書いた
  2. 2009年高い熱を出したあなたを抱いて、夜中の病院の廊下を、ふたりで何度も行ったり来たりした夜
  3. 2025年あなたが家を出た夜。あなたの部屋の電気を、なかなか消せなかった

家族の寄せ書き

お父さんお父さん

あおいへ。二十歳おめでとう。うまく言えないから、ひとつだけ。いつ帰ってきてもいい。お前の部屋は、そのままにしてある。

おばあちゃんおばあちゃん

あおいちゃん、二十歳おめでとう。あの振袖は、なおみの二十歳のために、呉服屋さんを三軒まわって選んだものです。孫が袖を通してくれる日が来るなんて。長生きはするものですね。

こはるこはる

お姉ちゃん、二十歳おめでとう! 振袖、めっちゃきれいだった! 次に帰ってきたら、また一緒に寝ようね。ずっと大好き!

あおいへ

二十歳、おめでとう。
20年前の夏、生まれたばかりのあなたを初めて抱いた日のことを、昨日のことのように覚えています。

「葵」という名前は、お父さんとふたりで、夜中まで悩んで決めました。お日さまのほうへ、まっすぐ伸びていく花のように。あなたは、ちゃんとそういう人になりました。

うまくいかない日も、たくさんありました。親になるのは、お母さんもあなたが初めてでした。あなたと一緒に、20年かけて、少しずつお母さんにしてもらったのだと思います。

面と向かうと、つい「風邪ひかないでね」しか言えないので、家族みんなで写真と言葉を持ち寄って、このページを作りました。

あなたのお母さんになれて、本当によかった。
生まれてきてくれて、ありがとう。

お母さん

2027年1月 お母さんより

成人式の朝。振袖のあおいと、家族5人で

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