👥 この記事は「不動産会社の労務管理ガイド」の一部です。組織づくりの全体像(4フェーズ)を確認したい方はこちらをご覧ください。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 初めて人を雇うが、雇用契約書の書き方がわからない方
- 契約書の不備で従業員と揉めたくない方
- 歩合給や労働時間のルールを正しく文書化したい方
- 一から作るのは面倒なので、テンプレートがほしい方
この記事を読むと得られること
- 雇用契約書に必ず書くべき項目がわかる
- 不動産会社特有の条項(歩合・車両・守秘義務)の書き方がわかる
- AIを使った契約書ドラフトの作り方がわかる
- 社労士に見せる際のチェックポイントがわかる
- そのまま使えるAIプロンプトが手に入る
📍 結論から言うと…
「AIで下書き→社労士でチェック」が最速・最安
ゼロから社労士に頼むと5〜10万円。AIで下書きすれば、チェック費用1〜2万円で済みます。
契約書のドラフトを作成
プロに確認してもらう
雇用契約書は「揉めてからでは遅い」
最初にきちんと作っておけば、トラブルの9割は防げます。
⚠️ 重要:この記事は法的なアドバイスではありません
この記事で紹介する内容は、雇用契約書作成の「一般的な考え方」と「AIの活用方法」です。実際の契約書は必ず社労士または弁護士に確認してください。AIの出力をそのまま使用することで生じる法的リスクは、ご自身の責任となります。
雇用契約書の基本|必ず書くべき項目
労働基準法で定められた「絶対的明示事項」
雇用契約書(労働条件通知書)には、法律で「必ず書くべき」と定められている項目があります。
📋 絶対的明示事項(必須)
| 項目 | 記載すべき内容 | 不動産会社での注意点 |
|---|---|---|
| 労働契約の期間 | 期間の定めあり/なし | 試用期間も明記 |
| 就業の場所 | 勤務する事務所の住所 | 外回り・直行直帰も記載 |
| 従事すべき業務 | 具体的な業務内容 | 営業/事務/管理など明確に |
| 始業・終業の時刻 | 勤務時間の開始と終了 | みなし労働時間も検討 |
| 休憩時間 | 休憩の長さ | 6時間超で45分以上 |
| 休日・休暇 | 週休日数、有給休暇など | シフト制の場合も明記 |
| 賃金 | 基本給、手当、計算方法 | 歩合給の計算式を明記 |
| 賃金の支払方法 | 振込/現金、締め日/支払日 | 歩合の支払タイミングも |
| 退職に関する事項 | 退職届の期限、解雇事由 | 顧客引き抜き禁止も検討 |
⚠️ 最も訴えられやすい「固定残業代」の落とし穴
不動産業界で最も労基署に指摘されやすく、元社員から訴えられやすいのが「固定残業代(みなし残業)」の不適切な記載です。
❌ NGな表記
「月給30万円(残業代込み)」
→ 何時間分の残業代か不明で無効になるリスク
✅ 正しい表記
「基本給25万円+固定残業代5万円(25時間分)」
→ 時間数と金額を分けて明記
📌 チェックポイント:固定残業代を超えた場合は追加で残業代を支払う義務があります。「固定だから何時間働いても同じ」は違法です。社労士に必ず確認を。
💡 2024年4月からの法改正に注意
2024年4月から、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が義務化されました。将来的な転勤や配置転換の可能性がある場合は、契約書にその範囲を記載する必要があります。
不動産会社特有の条項|これを書かないとトラブルになる
一般的な雇用契約書のテンプレートでは、不動産会社特有の問題に対応できません。以下の条項は必ず検討してください。
① 歩合給(インセンティブ)に関する条項
不動産営業で最もトラブルになりやすいのが「歩合給」です。
❌ よくあるトラブル
- 「成約時に歩合がもらえると思っていたのに、入金後だった」
- 「キャンセルになったら歩合が取り消されるなんて聞いていない」
- 「共同案件の歩合の分配ルールが曖昧で揉めた」
- 「退職後に入金された案件の歩合がもらえなかった」
✅ 契約書に明記すべき項目
| 歩合の計算式 | 仲介手数料の〇%、または成約1件あたり〇円 |
| 発生タイミング | 「成約時」「契約締結時」「入金確認時」のいずれか |
| キャンセル時の扱い | 契約キャンセル時に歩合を返還するか否か |
| 共同案件のルール | 複数の営業が関わった場合の分配比率 |
| 退職時の扱い | 退職後に入金された案件の歩合はどうするか |
② 自家用車持ち込みに関する条項
不動産営業では、私用車を業務に使うケースが多くあります。
🚗 契約書に明記すべき項目
| 車両持ち込みの有無 | 業務に自家用車を使用するか否か |
| ガソリン代の負担 | 会社負担(実費or定額)/ 自己負担 |
| 車両手当 | 持ち込みに対する手当の有無と金額 |
| 保険の加入要件 | 任意保険の加入義務、対人対物の補償額 |
| 事故時の責任分担 | 業務中の事故の責任と費用負担 |
⚠️ 業務中の事故は会社の責任になる可能性
私用車であっても、業務中の事故は使用者責任を問われる可能性があります。保険の加入要件や補償内容は、社労士や弁護士に相談して決めることをお勧めします。
③ 守秘義務・SNS投稿に関する条項
不動産業では顧客情報や物件情報を扱うため、守秘義務が重要です。
🔒 契約書に明記すべき項目
| 守秘義務の対象 | 顧客情報、物件情報、取引条件、社内情報など |
| SNS投稿のルール | 物件写真・顧客情報の投稿禁止、会社名の使用ルール |
| 退職後の守秘義務 | 退職後も守秘義務が継続する期間 |
| 違反時のペナルティ | 損害賠償請求の可能性を明記 |
④ 競業避止義務に関する条項
退職後に同業他社に転職したり、顧客を引き抜くことを防ぐための条項です。
⚖️ 競業避止義務の注意点
- 期間・地域・職種を限定しないと無効になる可能性がある
- 一般的には退職後1〜2年、同一市区町村内程度が限度
- 代償措置(競業避止手当など)がないと認められにくい
- 過度な制限は職業選択の自由の侵害として無効になる
📌 社労士・弁護士に相談すべき項目:競業避止義務は法的に争われやすいため、必ず専門家に相談してください。
⑤ その他の不動産特有の条項
| 条項 | 内容 |
|---|---|
| 宅建士資格手当 | 資格保有者への手当の金額と条件 |
| 資格取得支援 | 受験費用の負担、合格祝い金など |
| 服装規定 | スーツ着用義務、費用負担など |
| 携帯電話の使用 | 会社貸与/個人携帯使用、通話料負担 |
| 直行直帰のルール | 現地直行・直帰の可否、報告義務 |
🤖 AIを活用した雇用契約書の作り方
ここからが本題です。AIを使って雇用契約書のドラフト(下書き)を作成する方法をご紹介します。
📊 契約書作成の「役割分担」
ドラフトを生成
修正点を洗い出し
最終調整
「下書き」はAIで、「法的チェック」は社労士で——これがコスパ最強の方法
そのまま使えるAIプロンプト例【コピペOK】
プロンプト①:不動産会社向け雇用契約書のドラフト作成
あなたは不動産会社の人事に詳しい社労士です。 以下の条件で、雇用契約書(労働条件通知書兼用)のドラフトを作成してください。 【会社情報】 ・会社名:〇〇不動産株式会社 ・所在地:〇〇県〇〇市〇〇 ・代表者名:〇〇〇〇 ・事業内容:賃貸仲介 / 売買仲介 / 管理 【雇用条件】 ・雇用形態:正社員 / 契約社員 / パート ・契約期間:期間の定めなし / 〇年〇月〇日まで ・試用期間:〇ヶ月 ・職種:営業職 / 事務職 / 管理職 ・就業場所:本社 / 〇〇支店 ・転勤の可能性:あり / なし 【勤務時間】 ・始業:〇時〇分 ・終業:〇時〇分 ・休憩:〇分 ・所定労働時間:〇時間 ・残業:あり(月〇時間程度)/ なし ・休日:土日 / シフト制(週〇日) 【給与】 ・基本給:月額〇〇万円 ・固定残業代:〇時間分 〇〇円(含む / 別途) ・歩合給:あり / なし - 計算方法:仲介手数料の〇% / 成約1件〇円 - 発生タイミング:成約時 / 入金確認時 - キャンセル時:返還あり / 返還なし ・通勤手当:実費(上限〇円)/ 定額〇円 / なし ・宅建士手当:〇円 / なし ・締め日:毎月〇日 ・支払日:毎月〇日 【自家用車の業務使用】 ・使用:あり / なし ・ガソリン代:会社負担 / 自己負担 ・車両手当:〇円 / なし ・保険要件:任意保険加入必須、対人対物〇円以上 【その他】 ・守秘義務:あり ・SNS投稿制限:あり ・競業避止義務:あり / なし ・退職届の提出期限:〇日前まで 【出力形式】 ・労働基準法に準拠した正式な契約書形式で出力してください ・各条項に見出しをつけてください ・最後に「署名欄」を設けてください 【重要な注意事項】 ・これはドラフト(下書き)です ・必ず社労士または弁護士に確認してから使用する旨を記載してください
プロンプト②:歩合給条項のみを詳細に作成
あなたは不動産会社の人事に詳しい社労士です。 不動産営業の「歩合給(インセンティブ)」に関する契約条項を作成してください。 【自社の歩合制度】 ・基本給:月額〇〇万円 ・歩合の計算式:仲介手数料の〇% / 成約1件あたり〇円 ・適用対象:賃貸仲介 / 売買仲介 / 両方 ・発生タイミング:成約時 / 契約締結時 / 入金確認時 ・支払時期:当月 / 翌月 / 〇ヶ月後 ・キャンセル時の扱い:返還あり / 返還なし / 条件付き返還 ・共同案件の分配:均等分割 / 主担当〇%・副担当〇% / 都度決定 ・退職時の扱い:在籍中の成約分のみ支給 / 入金時に支給 / 支給なし 【作成してほしいもの】 1. 歩合給に関する契約条項(正式な文言で) 2. 具体的な計算例(数字を入れて) 3. 想定されるトラブルとその予防策 4. 社労士に確認すべきポイント 【制約事項】 ・労働基準法に準拠してください ・トラブルを防ぐため、できるだけ具体的に記載してください
プロンプト③:守秘義務・SNSルールの条項作成
あなたは不動産会社の法務に詳しい弁護士です。 従業員向けの「守秘義務」と「SNS投稿ルール」に関する契約条項を作成してください。 【守秘義務の対象】 ・顧客の個人情報(氏名、連絡先、年収、勤務先など) ・物件情報(未公開物件、オーナー情報、取引条件) ・社内情報(売上、営業戦略、顧客リスト) ・取引先情報(協力業者、金融機関との条件) 【SNS投稿に関するルール】 ・業務中の写真投稿:禁止 / 許可制 ・物件写真の投稿:禁止 / 許可制 ・顧客情報の投稿:完全禁止 ・会社名の記載:禁止 / 許可制 ・個人アカウントでの業務言及:禁止 / 注意喚起 【退職後の取り扱い】 ・守秘義務の継続期間:〇年間 / 無期限 ・顧客への接触制限:あり / なし 【作成してほしいもの】 1. 守秘義務に関する契約条項 2. SNS投稿ルールに関する契約条項(別紙規程として) 3. 違反時の対応(警告、懲戒、損害賠償) 4. 従業員への説明ポイント
プロンプト④:契約書ドラフトのチェックリスト作成
あなたは不動産会社の人事に詳しい社労士です。 以下の雇用契約書ドラフトをチェックし、問題点と改善点を指摘してください。 【契約書ドラフト】 (ここに作成した契約書をペースト) 【チェックしてほしいこと】 1. 労働基準法上の問題点 2. 記載漏れの項目 3. 曖昧な表現で揉めそうな箇所 4. 不動産業界特有のリスク 5. 社労士に確認すべき重要ポイント 6. 改善案の提示 【出力形式】 ・問題点ごとに「問題」「リスク」「改善案」を整理してください ・優先度(高・中・低)をつけてください
AI活用時の注意点(必ず読んでください)
⚠️ AIで契約書を作る際の3つの鉄則
- AIの出力をそのまま使わない:AIは「一般的な」契約書を作りますが、あなたの会社固有の事情は考慮できません。必ず内容を確認し、修正してください。
- 必ず社労士または弁護士に確認:労働法は複雑で、判例も変わります。法的リスクを避けるため、専門家のチェックは必須です。
- 「ドラフト」として扱う:AIの出力は「たたき台」です。最終版は専門家と一緒に仕上げましょう。
社労士に見せる際のチェックポイント
AIで作ったドラフトを社労士に見せる際、以下のポイントを伝えて確認してもらいましょう。
✅ 社労士に確認すべき10のチェックポイント
- 労働基準法の必須項目は網羅されているか
- 固定残業代の計算と表記は適法か(〇時間分〇円の明記)
- 歩合給の発生タイミングと計算方法は明確か
- 試用期間の設定と解雇条件は適切か
- 休日・休暇の規定は労働基準法を満たしているか
- 自家用車使用のルールと責任分担は明確か
- 守秘義務の範囲と期間は適切か
- 競業避止義務は有効性のある範囲か
- 退職時の手続き(届出期限、引継ぎ)は適切か
- 2024年4月の法改正(就業場所・業務の変更範囲)に対応しているか
💡 社労士への依頼コストの目安
| ゼロから作成を依頼 | 5〜10万円 |
| ドラフトのチェック・修正 | 1〜3万円 |
| 顧問契約している場合 | 月額料金に含まれることも |
電子契約でスマートに締結する
2026年の今、雇用契約書も「紙と印鑑」から「電子契約」へ移行しています。
📱 電子契約のメリット
| スピード | スマホで5分で締結完了。郵送の往復不要 |
| コスト削減 | 印紙代・郵送代・印刷代がゼロに |
| 保管が楽 | クラウド上で自動保管。紛失リスクなし |
| 法的効力 | 電子署名法により、紙と同等の法的効力 |
📌 おすすめサービス:クラウドサイン、DocuSign、freeeサインなど。月額無料プランもあるので、まずは試してみましょう。
よくあるトラブルとその予防策
💀 不動産屋の怖い話:契約書の不備で200万円失った事例
【事例1】固定残業代の表記ミスで過去2年分を請求された
契約書に「月給35万円(残業代含む)」とだけ記載。退職した元社員から「残業代が何時間分か明記されていないので無効」と主張され、過去2年分の残業代200万円を請求された。裁判では会社側が敗訴。
【事例2】歩合の発生タイミングで揉めて信頼崩壊
口頭で「成約したら歩合を払う」と説明していたが、契約書には「入金確認後」と記載。成約から入金まで2ヶ月かかる売買案件で、「話が違う」と揉めてエース社員が退職。顧客も一緒に持っていかれた。
「うちは大丈夫」と思っていませんか?
トラブルは「良い関係」が終わったときに起きます。今すぐ契約書を見直しましょう。
| よくあるトラブル | 原因 | 予防策 |
|---|---|---|
| 「聞いていた給料と違う」 | 口頭説明と契約書の乖離 | 全ての条件を書面化 |
| 「歩合の計算が合わない」 | 計算式が曖昧 | 具体例を入れて明記 |
| 「残業代が払われない」 | 固定残業代の説明不足 | 時間と金額を明記 |
| 「退職時に顧客を持っていかれた」 | 競業避止義務なし | 競業避止条項を設定 |
| 「SNSに物件情報を投稿された」 | ルールの明文化なし | SNS規程を別途作成 |
まとめ|今日からやるべきこと
💡 ポイントまとめ
- 雇用契約書は「揉めてからでは遅い」——最初にきちんと作る
- 不動産会社は歩合給・車両・守秘義務の条項が特に重要
- 「AIで下書き→社労士でチェック」がコスパ最強
- AIの出力は「ドラフト」として扱い、必ず専門家に確認
- 2024年4月の法改正にも対応しているか確認する
✅ 今日やるべき3つのこと
Step 1:この記事のプロンプトを使って、雇用契約書のドラフトをAIに作らせる
Step 2:ドラフトを読み込み、自社の実情に合わせて修正する
Step 3:社労士に連絡し、チェック・最終調整を依頼する
📝 個別契約の次は会社のルール。10人未満でも作るべき就業規則ガイドはこちら。
▶ 就業規則の作り方|AIで雛形作成→社労士監修
⚽ 「守り」を固めたら、次は「攻め」です
雇用契約書は経営の「守り」です。
でも、守りだけでは会社は大きくなりません。
守りを固めたら、次は「攻め」の集客を自動化しませんか?
就業規則
労務管理
ポータル脱却
Web戦略
採用後のよくある失敗
- 「雇ったのに、任せる案件がない」
- 「人件費が増えたのに、売上が変わらない」
- 「契約書は完璧なのに、集客が回らない」
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